2007年8月13日月曜日

“海底領土”拡張へ 露、北極海の探査に本腰

北極海の海底が大陸棚かどうか・・・が開発権を与えられる基準。
ロシアの思惑にも注目です。

(イザ!より引用)

≪3カ国分の面積/大陸棚資源確保狙う≫

 世界最大の領土と膨大な地下資源を誇るロシアが、北極海の海底探査を本格化させている。開発が手つかずの北極に“海底領土”を広げ、その地下資源を確保するのが狙いだ。これまでの調査により、ロシアはドイツ、フランス、イタリア3カ国の全国土面積の合計に匹敵する面積の“領土”を得られるとの自信を深めている。

 このほどロシアは、原子力砕氷船「ロシア」を約1カ月半にわたって北極圏に派遣し、水中カメラや地震波を使って海底地形を調査した。

 全ロシア科学海洋研究所のカミンスキー所長によれば、ロシアは今回の調査で北極海中央部のロモノソフ海嶺とその周辺の120万平方キロが、シベリア沿岸から続く大陸棚であることを証明する有力なデータを入手した。この海域に眠る石油や天然ガスは、100億トンにのぼるという。

 ロシア北部ムルマンスク州のセリン第1副知事は記者会見で「調査はこの重要な地域におけるロシアの地政学的、経済的利益を守る実践的な行動である」と語り、資源獲得に強い意欲を示した。

 国連海洋法条約によると、沿岸から200カイリの排他的経済水域(EEZ)を超えていても、海底が陸地からの延長である「大陸棚」と認められれば、沿岸国に地下資源開発権が認められる。

 ロシアは2001年、世界で初めて国連大陸棚限界委員会(CLCS)に大陸棚の拡張を申請したものの、データ不足を理由に却下された。最終的に自国の大陸棚を認めさせるためには、各国とも新しいデータを2009年までに同委員会に提出しなければならない。

 ロシアが海底調査に力を入れるのは、まさにこのためだが、地球温暖化によって北極地下資源開発が将来的に容易になるとの思惑が各国で広がりつつあり、ロシアの“領土拡張”路線が思惑通りに進むかは不明だ。

 これまでロシアのほかカナダ、米国、デンマーク、ノルウェーが北極海大陸棚での権利を主張。特にロシアが狙うロモノソフ海嶺については、デンマークとカナダが自国大陸棚であると訴え、連合調査団まで形成してロシアへの対抗姿勢をあらわにしている。

 国際的な資源獲得競争が激しさを増す中、ロシアの“領土”拡張欲が冷たい海にホットな争いをもたらすのは間違いない。